2023/06/09 16:48
台風が過ぎ(また来てるようですが)、
関東も梅雨入りしたようで今朝もどんよりとした空です。
湿気もありなかなか作ったものが乾かないので制作のペースもすこしゆっくりになります。
焼き物は乾燥をいかにコントロールするか、というのが結構大切です。

この工程はこのくらいの乾き具合でやるのがベスト、みたいなのがたくさんあり、
磁器と陶器によっても異なります。(うちはその間の半磁器です。)
エアコンや窯からの熱をダイレクトに受けるとほんの1時間でもかなり乾いてしまい、
できない(やりにくくなる)工程も出てきます。
外の気温や湿度、換気による風の流れなども考慮しておかなくてはいけません。
作った器を何もせずに出しておくとどんどん乾いてしまいます。
普通は乾燥をコントロールするための室(ムロ)と呼ばれるシメシメの部屋を使うのですが
うちには残念ながら室を設けるスペースもないので、乾燥のコントロールにはより気を使います。
最終的には完全乾燥させてから焼成するのですが
乾燥を急ぐと切れや歪みの原因になってしまったり、
特にろくろで挽いた皿モノなんかは縁が立ち上がってきてしまいカタチが変わってしまいます。
本当に大きな作品の場合は1ヶ月かけてゆっくり乾かす場合もあります。
ちなみに乾燥が甘いまま焼成してしまうと窯の中で爆発して終了です。。
+ + + + +
最近ひとつ大きな契約をしてきました。
新しい工房の建築計画です。
話が立ち上がったのは2021年のはじめ頃でしたが、
一度頓挫し、改めて昨年秋頃から進めてきました。
現工房の隣の空き地に建築予定で、2棟体制になります。
ようやく図面はじめ資金的な部分など準備が整い、先日契約に至りました。
築40年の民家を使った現工房は元々は個人作家が使うのを想定したサイズで
代々笠間の先輩作家さんが使ってきた工房です。
従業員の数が増えるにつれ、さすがにスペース的な面でキャパオーバーになっていました。
従業員には働きにくさをいろんな面で与えてしまっていたことと思います。
窯も現在3基あり、窯場は人が行き来出来ないくらいタイトになってしまいました。
移転も考えたことがあったのですが、いい物件が見つかるかわからないうえ、
窯小屋を一面壊さないと出せないくらい大きな窯を抱えての移転は現実的には...というところもあり。
(笠間市内での窯の移動だけでも移設費、電気工事費合わせて100万では済まないとのこと。)
建物を建てるのはもちろん初めてなので、不安も大きかったですが
私自身仕事の目標の一つに据えて日々取り組んできました。
この仕事を10年続けてこられたのはお客さまやお取り扱いいただいているお店のおかげです。
(10周年イヤーのノベルティーも考えております...からね!)
10年の節目の今、より良い労働環境として従業員への還元がようやく出来そうです。
同時に私史上最も重い荷物を背負うことにもなりますが、これまで通り目の前のことからやっていくだけです。
そうそう、そこにはもちろんみんなの憧れの室(ムロ)も備わる予定です。
もう乾燥なんてこわくないのです。
