abe pottery studio nooc

2025/08/13 10:44


今年のお盆休みは長い人は9連休だそう。
朝の通勤時の道路の感じも少し変わって、
1台1台の乗車人数が増え、「わ」ナンバーの車が増え、
これから帰省か遠出でもするのか心なしかウキウキ感すら感じられるような。


スタッフはお盆休みに入っていますが、私自身は帰省しないので通常営業です。
連休明けに色々と納品を控えているので今はひたすらそれらを進めています。
ここ数日は雨続きで気温も落ち着き、
このまま秋になったりするのかななんて思ったりもしますがまた暑くなるんだろうな。


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この夏、工房の設備を色々と増強しました。
窯がすこしパワーアップしたり、土を作る機械やロクロを増やしたり。
これまで設備の関係で難しかったものを思い切って無くし、
自由度を上げて制作できるようにしました。



思えば大学のサークルでやっていた頃は色の違う粘土が混ざることも気にせず、
余った粘土同士を混ぜた謎土で作って焼いてみたり、
焼き方も毎回同じではなく、積極的に変えて焚いていました。
それらの遊びがひらめきにつながるようなこともありました。
再現しようと思っても、自分でもよく分からない配合で大した記録もしていないのですが、
いろんなものが窯から出てきて窯出しも楽しく、どんどんハマっていきました。


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仕事として始めると再現性を求められることも多々ありますから(日常使いの器の場合は特に)
粘土や釉薬の配合はもちろん、寸法、細工、焼き方、図案...と全て記録しておく必要があります。
再現性を高めるにはその記録の解像度や、
なるべくイレギュラーな要素が混ざらないようにしておくことも大事です。


ウチではこれまで白土を使うことがほぼ100%で、
赤土を扱うことを想定していない設備でした。
白土に赤土が混ざると焼成後に黒い斑点になったり、そもそもの白さが変わったり...
器の再現性は下がってしまいます。


あと単純に片付けがタイヘン。
土練り台やテーブル、ロクロ、使った道具類は綺麗に拭き上げ、
粘土を作る機械なんかは分解清掃が必要になります。
すぐに作り始めたいのにプチストレスではあります。。。


ちょうどいま進めている注文で赤土でやった方が良さそうだな、というものがあり、
焼成もこれまで酸化焼成(普通に地上でモノを燃やすのと同じ焼成法)ではなく
直感的に還元焼成(不完全燃焼状態にし、器胎や釉薬から酸素を奪う焼成法)の方が合いそうでした。
特に赤土は還元焼成すると表情が変わり、粘土中に含まれる成分が表面に引き出されます。
釉薬に含まれる金属成分もよく反応し、粘土・釉薬の両面から発色も変化します。


大学時代から独立して最初の数年はよく還元焼成もやっていたのですが
今の作風になってからはやっていませんでした。
いつの間にか「白土×酸化焼成の範疇でできるもの」という制限を自ら作っているのです。




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最近は、何か全く新しいものを作ってみたいという思いもあったり、
遊びの中から何かひらめきを見つけるような体験をまたしてみたいなと思ったのがきっかけにもなり、
思い切って設備の面をいろいろ改革してみました。
もちろん凝り固まった思考も柔軟に、ソフト面の改革も重要です。


まずは材料の試験や、第二の焼成法である還元焼成でできることを探ります。
個人的に器の場合、カタチやデザインはあとからどうとでもできると思っていて、
最初の段階では材料や焼成法の試験に重きを置いています。












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