abe pottery studio nooc

2025/11/09 13:01


5月の終わりに短い闘病生活の末、黒猫の「うに」が死んでしまいました。


2018年の8月下旬ごろに工房周辺に二匹の黒猫が現れました。
道路の辺りを歩いていたり、時には工房の敷地内で見かけたり。
しばらくして片方の黒猫が工房の前の道路で車に轢かれてしまいました。
初めて二匹を見かけてから数日後のことでした。


そのころ私は住居兼工房で二匹の猫と暮らしていました。
正直なところ三匹目を飼うことは考えていませんでした。
当時仕事も軌道に乗り、いわゆる器ブームもあり、その時なりに忙しくしていました。
今よりも個展等も多く、在廊での出張も多かったり、
万一の災害時、三匹も抱えて逃げられるか...?
流石に一人で三匹は抱えられないなぁという思いでした。


それから一匹になってしまった黒猫は工房の軒下で寝泊まりするようになりました。
食べ物は絶対にあげないぞ、と思いつつ、
でもまぁお客さんだし...と綺麗な水だけは工房の軒下に用意していました。
私が車で工房に帰ってくると車に走り寄ってきたり(危ない)、
工房や自宅に入ろうとすると隙間からぬるりと上がり込んできたり。
終いにはスタッフのいない時は工房内で一緒に過ごすようになりました。


食べ物はあげていなかったのでどこで何を食べてたのかわかりませんが
すこしずつ痩せていく姿を見て、私も決心し家に迎え入れることにしました。
初めて見かけてから1ヶ月後くらいのことでした。


+ + + + +


一言でいえばアイドル。
本当に人懐っこく、一緒に寝てくれるし、横になるとすぐ乗ってきます。
いつも写真を撮ると目に光があり、きらっとしています。
他の子と比べるとちょっとずんぐりしててかわいい。
ぷりぷりした動きもこれまたかわいい。


メゾネットに引っ越した時は他の猫は初めてみる階段に足がすくんでしまいましたが
うにだけは初見で駆け降りていきました。
そうそう、最初から避妊手術もしてあり、
もしかしてどこかで飼われていた猫なのか...年齢も出自も全くわからない猫なのでした。


とにかくかわいかった。
iPhoneのなかの写真の枚数も1位。(猫の判別もできるiPhoneスゴイ)
出会った時にはすでに成猫だったので子猫時代の写真などなく、一番あとからやってきたのに。
何か笑いを提供してくれるコメディアンでもあり、
おおらかで、どこか犬っぽさを感じさせるような猫でした。


+ + + + +


今年4月中旬、いつもはごはんがもらえる部屋の前で待機しているタイプなのですが
なんとなく食いつきが悪くなりました。
最初はごはんの好みが変わったのかなくらいに思っていました。
数日見てても変わらないので別のをあげてみても以前のように夢中では食べない。
うには外生活が長かったのか割と食には貪欲でした。


連休明けに病院に連れて行って腎臓病と診断されてからは強制給餌をし、
たくさん水も飲ませて、うに中心の生活になりました。
工房にも連れてきて仕事しつつ、横にはうに。
付きっきりで過ごしました。


夜中2時に夜間救急に駆け込んだり、自宅での点滴、最期の10日ほどは毎日の通院。
猫の腎臓病についても毎日調べていました。
うにも毎日注射や点滴を耐えてくれ、痛々しくも可愛く、
笑ってる場合じゃないんだけど病院でもみんなで笑っちゃうこともあるくらい。


5月の終わり、腎臓病末期の症状が出ていると言われたときも
私自身はなんとかしてやると諦めてはいませんでした。
強制給餌も続けましたが飲み下すのが辛そうで、
でもやめてしまうともう...と思うと、続けるしかないという状況でした。


最期の日の前の晩に強制給餌をしていると、私の上に乗ってきたので
強制給餌をやめてそのまま私も床に仰向けになり、数分じっとしていました。
翌朝、呼吸が浅くなってるのをみて慌てて病院へ。
自宅まで帰り、みんなに囲まれ抱っこされたまま息を引き取りました。


+ + + + +


死んでから二日間は家で過ごし、
しっかりブラッシングして体毛を集め毛玉ボールに。
他の猫たちは分かってるのか分かってないのか、
でもまぁ一応お別れをしてもらいました。
その後、他の猫たちはあまり気にしてる風ではなくいつも通りです。
キジトラのごんざぶろう(12)は甘えん坊が加速し、
三毛猫のハナメ(11)はホルモン系の持病もあり、元気すぎるくらい。
うにとハナメはとても仲が良かったので姉妹のようでした。


猫たちが死んだら工房の敷地に埋めるというのは決めていたので
1メートルほどの穴を掘り、旅支度して埋葬しました。
工房に自生するシロツメクサの冠を被せてやると急に女の子の表情になった気がしました。
(それまでどちらかというと小学生男子のような感覚で過ごしていた)


その後お世話になっていた動物病院からお花を送っていただいたり、
出張の際などお世話になっている往診専門の獣医さんからもお花をいただいたり
どちらもいい獣医さんでこれからもお世話になるつもりです。


私自身は初めに異変を感じたときにすぐに病院に連れて行かなかったことを後悔しています。
いなくなって5ヶ月が経ちます。
うにのいない生活にも慣れましたが、本当にかわいい猫だったのでやはり悲しい。
工房のデスクや自宅にはうにの写真を飾っています。
出会った時にはすでに成猫だったので年齢は結局分からなかったし、
どういう生涯だったのか分からない部分も多いです。
一緒に過ごしたのは7年にも満たないですが、かわいくて面白い猫でした。


猫たちのことを気にかけてくださる方もいらっしゃるのでご報告でした。
書いては保存し...でなかなか公開できなかったのですが、ひとつの区切りとして。



















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